デレク・ハートフィールドの日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 連載小説 『 ツチノコの杜を抜けて 』 第9話

<<   作成日時 : 2010/10/28 00:31   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 2

画像

【 第8話までのあらすじ 】
都会から片田舎の集落に引っ越してきた良夫は転校先の小学校に全くなじめず日々疎外感を深めていた。そんなとき良夫は担任の永井先生から始業以来一度も登校してこない次郎の家にプリントや給食を届ける命を受ける。しかし、次郎の家への道のりは決して平坦ではなかった・・・・・。

バックナンバーをまとめて読みたい方はこちら → 第1話 〜 第8話のアーカイブ

第9話 『 Fight or Flight? 』

現実の数センチ上を浮遊しているかのような足取りで良夫は歩を進めた。舗装されていない道はところどころに大きなくぼみがあり、二、三日前に降った雨水を未だに湛えていた。やがて良夫はそのひとつの前で立ち止まった。水は驚くほど澄んでおり、二匹のあめんぼが競うように水面を滑走していた。その水たまりを飛び越えようと軽く助走をつけようとした良夫であったが、ほんの数分前自分の身に降りかかった出来事を思い出し、踏みとどまった。ナイス判断。
水たまりを迂回しようとして、ふと良夫は立ち止まった。

「ぼくはこの先ずっとまわり道ばっかりして生きていくのかな」 ( 良夫の心の声 )

このとき良夫は、これから続く茫漠とした時間を、巨大な人生を、こうして難局を迎えるたびに絶え間なくそれらを迂回し続ける自分を想像した。転校以来クラスメートたちに歩み寄ることなく彼らを避け続ける毎日。今日もそうだ。ひとりぼっちで下校する姿を見られるのが恥ずかしくてチャイムが鳴ると同時に一目散で校門を出たではないか。そしてこのありさまだ。情けなくて悲しくてやるせなくて、また鼻の奥がツーンと熱く痛んだ。

「 泣いてはいけない 」

唇をかみ締める良夫。それをあざ笑うかのようにスイスイ泳ぐように水面を走るあめんぼたち。
良夫はとっさに悲しみをあめんぼへの怒りに変換して無理から涙をこらえた。そして次の瞬間、力強く水たまりを蹴り上げた。その衝撃波で二匹のあめんぼは水しぶきもろとも宙を舞い、地に落ちた。
勢い余った良夫は再び背中から水面に叩き付けられたのだった。やっぱり。

( つづく )

人気ブログランキングへ人気ブログランキングへ

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
久しぶリ過ぎる!
連載打ち切リかと思ってましたとo
ぶちょ和久平
2010/10/28 03:17
ここから怒濤の連載ラッシュ!
推定上がり32秒台前半の脚でクライマックスに。
トップの画像はその伏線。
京のコヨーテ
2010/10/28 06:26

コメントする help

ニックネーム
本 文
連載小説 『 ツチノコの杜を抜けて 』 第9話 デレク・ハートフィールドの日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる