デレク・ハートフィールドの日記

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zoom RSS 2年振り連載再開! 連載小説 『ツチノコの杜をぬけて』 第16話

<<   作成日時 : 2013/10/16 14:14  

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第16話 『不撓不屈』

いったいどれくらいの時間、水たまりに突っ伏していただろう。
それはほんの一瞬かもしれない。しかし、矛盾を承知で表現するなら、それは限りなく永遠に近い一瞬であったと言えよう。宇宙の起源をビッグバン理論に求めるのと同様に、この日この時この場所で、安夫は人生最初期の超高温度・超高密度の経験を経て、人格の爆発的膨張に至った。
意識が戻り、安夫の目に最初に映ったのは地面に仰向けでもがく一匹のあめんぼの姿だった。それはさっきまで水たまりの上を滑走していたところを、安夫が怒りにまかせて水しぶきもろと地面に蹴り上げたものだった。
このあめんぼこそ、いまの安夫の比喩である。かつての安夫なら、誰かが助け起こしてくれるまで泣き続けることしかできなかった。それ以前に転倒するリスクさえ取らず、ただひたすら平坦な道を求め、息をひそめるように歩くだけだった。
だが、いまは違う!
何度も転んでは立ち上がり、そして戦い、また倒れ、いま、地面で反転したあめんぼのように手足をばたつかせ、ふたたび立ち上がろうとしている。
水たまりの中で両手を踏ん張り、ようやく片膝を立てたところで次郎と目が合った。次郎もワナワナと震えながら立ち上がろうとしていた。
「こいつよりも先に立ち上がる!」
安夫は心の中で叫んだ。

(つづく)

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